ABSTRACT 1608(P6-1)
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トリプシンの強制発現によるヒト胃癌細胞の増殖能および接着能の昂進:
宮田 智1,宮城 洋平2,越川 直彦1,長嶋 洋治2,安光 英太郎1,宮崎 香11横浜市大・木原研・細胞生物,2横浜市大・医・2病理)

Stimulation of cell growth and cell adhesion of MKN-1 cells by transfection of trypsinogen-1:Satoshi MIYATA1,Yohei MIYAGI2,Naohiko KOSHIKAWA1,Yoji NAGASHIMA2, Hidetaro YASUMITSU1 and Kaoru MIYAZAKI1(1Kihara Inst. Biol. Res.,Yokohama City Univ.,2Dept. 2nd Patho.,Yokohama City Univ. School of Med.)

これまでに、トリプシンの発現が胃癌、卵巣癌で上昇していることやトリプシンを強制発現させたヒト胃癌細胞株MKN-1は、ヌードマウスの腹腔内での造腫瘍性が促進されることなどを報告した。今回、トリプシンによるMKN-1のヌードマウスの腹腔内での造腫瘍性の促進機構を明らかにするために、MKN-1の細胞増殖および細胞接着に対するトリプシンの影響について調べた。発現ベクターのみをトランスフェクトしたコントロール細胞(MOCK)およびトリプシノーゲン-1cDNA発現ベクターをトランスフェクトした細胞(TRY)をトリプシノーゲンの活性化因子であるエンテロキナーゼ存在下で培養した結果、TRYはMOCKに比べて細胞増殖が約1.5倍高いことが明らかになった。一方、エンテロキナーゼ非存在下で培養した場合は、MOCKおよびTRYの細胞増殖に差は見られなかった。また、細胞外マトリックスタンパク質であるIV型コラーゲン、ラミニン、ファイブロネクチンおよびビトロネクチンへの細胞接着について比較した結果、TRYはMOCKに比べてファイブロネクチンおよびビトロネクチンへの細胞接着が有意に高いことが明らかになった。以上の結果から、トリプシンがMKN-1の細胞増殖および細胞接着を促進することにより、MKN-1のヌードマウスの腹腔内での造腫瘍性を促進することが示唆された。