ABSTRACT 1617(P6-1)
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グルタチオン S-トランスフェラーゼ阻害剤ベナスタチンAによるマウスcolon26細胞の増殖抑制:土田成紀1,柿崎育子2,高畑武功1,大川恵三1,早狩誠1,佐藤公彦11弘前大・医・2生化,2同・1生化)

Inhibition of cell proliferation of mouse colon26 cells by a glutathione S-transferase inhibitor, benastatin A: Shigeki TSUCHIDA1,Ikuko KAKIZAKI2,Takenori TAKAHATA1, Keizou OOKAWA1,Makoto HAYAKARI1, Kimihiko SATOH1 (1Second and 2First Dept.Biochem.,Hirosaki Univ.Sch.Med.)

グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)は多くの癌細胞で発現するが、その機能については抗癌剤耐性への関与を除いて、必ずしも明らかでない。これまで我々は、GST阻害剤によりマウスcolon26細胞にアポトーシスが誘導されることを明らかにしてきた。今回、GST阻害剤のベナスタチンAが細胞増殖を抑制、細胞周期をG1/G0期で停止させることを見出した。
(方法・結果)マウスcolon26細胞を96穴のマイクロプレートで培養し、細胞数をAlamar Blue法で測定した。ベナスタチンAの培地への添加により、濃度依存性にcolon26細胞の増殖が抑制された。細胞をpropidium iodideで染色後、フローサイトメーターで細胞周期を検討した。ベナスタチンAの添加により、S期の減少とG1/G0期の増加が観察され、ノコダゾール処理によりG1/G0期の増加が顕著になったことから、 ベナスタチンAは細胞周期をG1/G0期で停止させることが示唆された。さらに、ベナスタチンAはcolon26細胞のGST、beta-actin、c-junなどのmRNAレベルを低下させた。ベナスタチンAはcolon26細胞に対し、細胞周期の停止や転写の抑制など多様な影響を与えることが示唆された。現在これらの過程にGSTが関与するか検討を進めるとともに、GST以外の物質がベナスタチンAの標的となっている可能性についても検討している。