ABSTRACT 1618(P6-1)
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酸化型グルタチオンによるラットMuクラスグルタチオントランスフェラーゼのglutathiolation:熊野高行、高畑武功、早狩 誠、土田成紀(弘前大・医・2生化)

Glutathiolation of rat Mu-class glutathione transferase 3-3 by oxidized glutathione : Takayuki KUMANO, Takenori TAKAHATA, Makoto HAYAKARI, Shigeki TSUCHIDA (Second Dept. Biochem. Hirosaki Univ. Sch. Med.)

(目的)グルタチオントランスフェラーゼ (GST)のAlphaクラスは過酸化脂質に対してグルタチオンペルオキシダーゼ活性を示し、酸化ストレスに対し防御的に働くことが示唆されている。今回、酸化型グルタチオンによりラットMuクラスのGSTがそのシステイン残基でグルタチオンと混合ジスルフィドを形成し(glutathiolation)、このグルタチオン付加体がin vivoで観察されることを見いだした。
(方法、結果)Sprague-Dawleyラット肝からアフィニティカラムを用いてGST分子種を一括精製した。クロマトフォーカシングにより等電点7.5にMuクラスの分子種が分離され、このサブユニット(サブユニットX)はHPLCによりサブユニット3や4とは区別された。しかし、DTT処理によりサブユニットXからサブユニット3と還元型グルタチオンが産生されることから、サブユニットXはサブユニット3のグルタチオニル体と考えられた。精製GST3-3は酸化型グルタチオン処理後サブユニットXに変化した。ラット肝前癌病変ではGST-Pの発現とともにGST3-3も増加する。発癌過程では酸化ストレスの亢進が示唆されることから、GST3-3のグルタチオニル化は興味ある知見と考えられ、その役割について現在検討中である。