ABSTRACT 1619(P6-1)
肺癌におけるcyclooxygenase 2発現に関する検討:樋田豊明1、谷田部恭2、阿知和宏行1、村松秀樹1、吉田公秀1、小川一誠1、杉浦孝彦1、高橋隆3(1愛知がんセ・病・内、2同・臨検病理、3同・研・超微)
Study of cyclooxygenase 2 expression in lung cancer: Toyoaki HIDA1, Yasushi YATABE2, Hiroyuki ACHIWA1, Hideki MURAMATSU1, Kimihide YOSHIDA1, Makoto OGAWA1, Takahiko SUGIURA1, Takashi TAKAHASHI3 (1Dept. of Int. Med. and 2Dept. of Pathol. Clin. Lab., Aichi Cancer Cntr. Hosp.; 3Lab. of Ultrastruct. Res., Aichi Cancer Cntr. Res. Inst.)
【目的】 アラキドン酸代謝に関与するcyclooxygenase 2 (COX-2)の肺癌における発現について検討を加える。
【対象と方法】 66例の肺癌症例 (小細胞癌9、腺癌30、扁平上皮癌22、大細胞癌3、腺扁平上皮癌2)のホルマリン固定パラフィン包埋切片を対象に、抗COX-2ポリクローナル抗体(IBL)を用いてABC法による免疫組織学的検討を行った。
【結果】 COX-2の発現の顕著な増強が、腺癌においては73%(22/30)に検出されたのに対し、扁平上皮癌では14%(3/22)にみられたにすぎず、また小細胞癌ではCOX-2発現の増強はまったく検出されなかった。腺癌の前癌病変とも考えられるatypical adenomatous hyperplasiaでは3例中1例(33%)に発現の増強がみられた。また、同一肺癌症例の原発巣とリンパ節転移間におけるCOX-2発現の比較が可能であった10例中6例では同程度の染色性がみられたのに対し、4例ではリンパ節における発現増強が観察された。
【考察】 肺癌におけるCOX-2の発現増強には組織型特異性があり、主として腺癌に高頻度に認められ、さらに腫瘍の進展との関連性も示唆された。