ABSTRACT 1620(P6-1)
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消化器癌におけるホスホリパーゼA2の発現: 柏木三喜也,鳥海弥寿雄,柳沢暁,稲垣芳則,青木照明(慈恵会医大、外)

Altered expression of phospholipase A2 in digestive cancer and pancreatic cancer:Mikiya KASHIWAGI, Yasuo TORIUMI, Satoru YANAGISAWA,Yoshinori INAGAKI,Teruaki AOKI (Dept. of Surg., Jikei Univ School of Med.)

目的;ホスホリパーゼA2(PLA2)は脂質性メディエターの律速酵素として様々な細胞内信号伝達に関与している。消化器癌と膵癌における分泌型(2型)、細胞質型(4型)PLA2の役割を検討した。
方法;食動癌(14例)、胃癌(12例)、大腸癌(6例)、膵癌(31例)からmRNAを抽出し、各正常組織を対照群として、2型、4型PLA2の発現をNorthern blotで比較した。さらに膵癌では、免疫染色(48例)、in situ hybridizationを用いて病理学的に検討し、予後因子との解析を行った。
結果;食動癌、胃癌、大腸癌では、対照群と比べ2型、4型PLA2 mRNAの発現に差は認められなかった。膵癌では、2型、4型 PLA2 mRNAの過剰発現(p<0.003)を認め、病理学的検討でも同様の結果が得られた。2型PLA2では、 Northern blotと免疫染色でその発現量の多い群が少ない群に比べ5生率の有意な向上(p<0.03)を認めた。
結語;膵癌における2型、4型PLA2の過剰発現と、2型PLA2の発現量と予後の相関を認めたことは、PLA2が膵癌進展に関与していることが示唆された。