ABSTRACT 1626(P6-2)
大腸癌および胃癌における各種シアリダーゼの発現とその意義:角川陽一郎1、和田正2、宮城妙子2(1宮城がんセ・外、2宮城がんセ・研・生化)
Expression of several types of sialidase in colorectal and gastric cancer: Yoichiro KAKUGAWA1, Tadashi WADA2, Taeko MIYAGI2 (1Dept. of Surg., Miyagi Cancer Center., 2Division of Biochem., Miyagi Cancer Center.)
【目的】細胞の癌化に伴う糖鎖シアル酸異常は、癌の転移・浸潤能と密接に関連している。本研究ではシアル酸量調節の一翼を担う各種シアリダーゼ発現について、酵素活性や転写レベルで調査し、発現異常の意義を検討した。【方法】大腸癌35例、胃癌17例の新鮮摘出標本から癌組織および正常粘膜を採取した。シアリダーゼ活性はガングリオシドまたは4-メチルウンベリフェリル-シアル酸(4MU-NeuAc)を基質として、組織粗抽出液と顆粒画分を酵素源としpH4.6で測定した。また、最近我々が明らかにしたシアリダーゼの構造解析結果にもとづいてRT-PCRを行った。【結果と考察】ガングリオシドを基質とする活性は、大腸癌・胃癌ともに癌組織で正常粘膜に対して有意に高値を示した。とくにTritonX-100存在下での差異が著しく、形質膜性酵素によるものと思われた。RT-PCRではほとんどの大腸癌・胃癌で発現が亢進していた。しかし、病理組織学的因子との相関は得られなかった。4MU-NeuAcを基質とする活性は正常粘膜に対して胃癌で約2.4倍に上昇していたが、大腸癌では有意に低下していた。大腸癌における低下は癌の深達度と有意の相関を示し、組織型が未分化なほど低値を示した。局在等をin-situ hybridyzationにより検討中である。