ABSTRACT 1630(P6-2)
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いわゆる「粘液産生膵腫瘍」におけるMUC5AC (胃型) とMUC2 (腸型) のムチン遺伝子発現:米澤傑1, 堀之内道子1, 迫田晃子1, 大迫政彦2, 田中貞夫3, 久保昌亮4, 高尾尊身4, 愛甲孝4,佐藤栄一1(鹿児島大・医・1病理, 4外科, 鹿児島市医師会病院・2外科, 3病理)

Mucin gene expression of MUC5AC (gastric type) and MUC2 (intestinal type) in so-called "mucin producing tumor" of the pancreas (Suguru YONEZAWA1, Michiko HORINOUCHI1, Akiko SAKODA1, Masahiko OSAKO2, Sadao TANAKA3, Masaaki KUBO4, Sonshin TAKAO4, Takashi AIKO4, Eiichi SATO1 (Depts. of 1Pathol. and 4Surg., Kagoshima Univ., Depts. of 2Surg. and 3Pathol., Kagoshima Med. Assn. Hosp.)

〔目的〕いわゆる「粘液産生膵腫瘍」であるIntraductal papillary mucinous tumor (IPMT) とDuctectatic-type mucinous cystic tumor (DMCT) におけるムチンの遺伝子発現の検索と、その組織細胞形態の比較からその組織発生を考察する。
〔方法〕IPMT 24例(以下のごとく組織亜型に分類)と DMCT 10例のホルマリン固定パラフィン切片を用い、MUC5AC遺伝子とMUC2遺伝子を検出する合成オリゴヌクレオチドにジゴキシゲニンを標識したプローブによるin situ hybridizationを行い、以下に示す結果を得た。
〔結果と考察〕MUC5ACとMUC2は、IPMTのうち、Villous dark cell typeの13例では各々9例(69%)と12例(92%)に、Papillary clear cell typeの9例では9例(100%)と2例(22%)のgoblet cell のみに、Compact cell typeでは2例(100%)と0例(0%)に発現していた。DMCTの10例では10例(100%)と2例(20%)のgoblet cell のみに発現していた。Villous dark cell typeは形態的に腸の絨毛腺腫に類似し、MUC2の発現もみられ腸上皮の性格を有すると思われる。一方、Papillary clear cell typeとDMCTの細胞は胃の表層粘液細胞に類似し、主にMUC5ACの発現がみられることから胃上皮の性格を有し、前者は後者の腫瘍細胞がより高度に乳頭状に増殖したタイプである可能性がある。