ABSTRACT 1633(P6-2)
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ラット門脈枝結紮により誘導されるアポトーシスに先立ち肝細胞核のスフィンゴミエリン分解系が活性化される:津金恭司1、小泉惠子2、梛野正人1、 二村雄次1、吉田松年21名大・医・一外, 2名大・医・病態研)

Portal vein branch ligation atcivates nuclear sphingomyelin degradation prior to apoptotic cell death in rat liver : Kyoji TSUGANE1, Keiko TAMIYA-KOIZUMI2, Masato NAGINO1, Yuji NIMURA1, Shonen YOSHIDA2
(1First Dept. Surg., Nagoya Univ. Sch. Med., 2Res. Inst. Dis. Mech. Cont., Nagoya Univ. Sch. Med.)

【目的】我々は、肝胆道系悪性腫瘍に対する大量肝切除に先立ち、経皮経肝門脈枝塞栓術を行い、手術の安全性の向上と手術適応症例の拡大に良好な成績を収めている。ラット門脈枝結紮モデルを用いて、門脈枝塞栓後の塞栓葉の萎縮のメカニズムの解明を試みた。【方法】門脈枝結紮後の肝を経時的に採取して、組織像、TUNEL 染色、DNAの断片化によりアポトーシスの誘導を確認し、精製した核分画と細胞膜分画のスフィンゴミエリン代謝との関連性を解析した。【結果】門脈枝結紮後90分で、結紮葉の肝細胞にアポトーシスが起きた。結紮葉の核分画では、結紮後30〜60分で結紮葉のスフィンゴミエリナーゼ、セラミダーゼ活性が上昇し始め、それと平行して核内のセラミド、スフィンゴシンの濃度が上昇した。非結紮葉では変化が起きなかった。細胞膜分画では15〜30分後に一過性のスフィンゴシン濃度の上昇が見られたが、これは結紮葉、非結紮葉に共通した変化であった。【結論】核におけるスフィンゴミエリン代謝が肝細胞のアポトーシスのメディエータとして機能していることが示唆された。