ABSTRACT 1636(P6-3)
 ポスターセッション一覧 トップ 


ヒト腫瘍細胞におけるβ1,3ガラクトース転移酵素遺伝子の発現とガングリオシド発現の検討:宮崎 宏1, 福本 敏1,2,岡島徹也1, 岡田雅彦3, 古川圭子1, 古川鋼一11名大・医・生化二, 2長崎大・歯・小児歯, 3長崎大・医・小児 )

Analysis of expression of β1,3galactosyltransferase gene and gangliosides in human malignant cell lines : Hiroshi MIYAZAKI1, Satoshi FUKUMOTO1,2, Tetsuya OKAJIMA1,Masahiko OKADA3, Keiko FURUKAWA1 and Koichi FURUKAWA1 (1Dept. of Biochemistry II, Nagoya Univ., 2Dept. of Pediatric Dentistry, Nagasaki Univ., 3Dept. of Pediatrics, Nagasaki Univ.)

[目的]GM1は脊椎動物の脳に存在する主要な酸性糖脂質の一つであり,種々の生物学的現象に関与していると考えられる。我々はクローニングしたβ1,3ガラクトース転移酵素cDNAを用いて,種々のヒト癌細胞株における遺伝子発現とガングリオシド糖鎖発現につき検討すると共に,その意義について解析した。
[方法]GD1b/GM1/GA1を合成するβ1,3galactosyltransferase cDNAの全長をprobeとしてNorthern blottingを行い,各種ヒト腫瘍細胞株における本遺伝子の発現を比較検討した。同時に、細胞表面におけるガングリオシド糖鎖の発現をFACScanを用いて解析すると共に、これらの細胞より酸性糖脂質を抽出し、TLCにより検討した。
[結果]Northern blottingを用いてヒト白血病細胞及び神経外胚葉由来腫瘍細胞における本遺伝子の発現を検討したところ,多くの細胞株においてその発現が認められたが,増殖度と発現量との間に顕著な相関は認められなかった。更にFACScanによって各種糖鎖の発現を解析したところ、白血病細胞の多くは,GM1を高度に発現していたが,メラノーマ細胞株の5例中4例においては比較的弱い発現しか認められなかった。また、GD1bは数種類の細胞株において発現が見られたが,いずれも低レベルであり,細胞種との間に相関は認められなかった。GA1は殆どの細胞株で発現が認められなかった。多くのメラノーマ細胞株では本遺伝子の発現に加え,GD2やGM2など本酵素の基質を強く発現しているにも関わらず、その糖鎖産物であるGM1/GD1bの明瞭な発現が認められない事より,遺伝子発現と糖転移酵素の活性レベルが一致しない事が示唆された。