ABSTRACT 1639(P6-3)
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ヒト腸癌組織におけるGalNAc-T3の発現亢進及び糖鎖抗原の発現との関連について:井上瑞江1,上山泰男2,山科郁男1,中田 博11京都産業大・工・生物工,2関西医大・一外)

Elevated expression of GalNAc-T3 in colon cancer tissues and its correlation with expression of cancer associated carbohydrate antigens: Mizue INOUE1, Yasuo KAMIYAMA2, Ikuo YAMASHINA1, Hiroshi NAKADA1 (1Dept. of Biotechnology, Kyoto Sangyo Univ., 2First Dept. Surg., Kansai Med. Univ.)

糖鎖合成において最初の糖を転加するポリペプチド:N−アセチルガラクトサミン転移酵素(GalNAc-T)について,ヒト腸癌組織及び非癌部について比較検討した.同酵素は10種以上存在することが知られており,癌組織においてGalNAc-Tの発現の偏り,あるいは特異的なGalNAc-Tの発現亢進の有無について,とりわけ糖鎖抗原の発現との関連を検討した.本酵素の活性及びmRNAレベルで比較した.すなわち,酵素活性はMUC2タンデムリピ−トに相当する合成ペプチドを用い,反応産物を逆相クロマトで分画しパタ−ンを比較した.その結果,癌部と非癌部を酵素原とした場合で著しい差異が見られた.また,RT-PCRを用いてGalNAc-T1~4について発現を見たところ,GalNAc-T3のみに著しい上昇が認められた.そこで,GalNAc-T3のリコンビナントを調製し,非癌部の酵素に加えて同様の溶出パタ−ンを見たところ,癌部のそれに近いパタ−ンが得られた.また,GalNAc-T3を加えることにより増加した画分にTn抗原活性が認められることから,GalNAc-T3が重要な役割を果たしているものと考え,さらに詳細に検討中である