ABSTRACT 1640(P6-3)
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白血病細胞におけるα1-6フコース転移酵素の発現:吉村雅史1,西浦哲雄1,吉田均1,岡島裕1,小川愛1,冨山佳昭1,谷口直之2,松沢佑次11阪大・医・2内、2阪大・医・生化)

Expression of α1-6 fucosyltransferase in leukemic cells.: Masafumi YOSHIMURA1, Tetsuo NISHIURA1, Hitoshi YOSHIDA1, Yu OKAJIMA1, Megumu OGAWA1, Yoshiaki TOMIYAMA1, Naoyuki TANIGUCHI2, Yuji MATSUZAWA1 (1the 2nd Dept., Int. Med., and 2Dept. Biochem., Osaka Univ. Med. Sch.)

目的: 白血病細胞におけるα1-6フコース転移酵素(α1-6FucT)の発現を検討した。方法: 治療前の急性白血病患者の末梢血から分離した白血病細胞におけるα1-6FucTの活性、及びα1-6FucT mRNAの発現を正常人末梢血より分離した単核球(コントロール)と比較した。細胞表面のアスパラギン結合型糖鎖を抽出し、α1-6FucTにより合成されるα1-6フコース残基をHPLCにて分離し定量した。α1-6フコース残基に親和性を持つLCAレクチンの結合をflow cytometryで検討した。結果・考察: α1-6FucTの活性、mRNAの発現は急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病共に増強していた。中でも単球性白血病(M4、M5)と巨核球性白血病(M7)で、他の白血病群に比べてα1-6残基の割合が増加していた。α1-6FucTの活性はmRNA量と比例した。HPLCで分離されたα1-6フコース残基を持つ糖鎖やLCAレクチンの結合もM4、M5、M7で増加していた。すなわち、白血病細胞での発現が増強し、特にM4、M5、M7でその発現の増強と、α1-6FucTにより合成されるα1-6フコース残基の増加が認められた。これらの結果から、α1-6FucTの発現は、単球系(M4、M5)、巨核球系(M7)白血病のマーカーとなる可能性が示唆された。