ABSTRACT 1641(P6-3)
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ヒト肝癌組織におけるα1-6Fucosyltransferase (α1-6FucT)の発現とフコシル化メカニズムの解析:野田勝久1,2、三善英知1,2、池田義孝1、魚住尚史1、林 紀夫2、谷口直之1(阪大・医・1生化学、2一内)

Gene expression of α1-6FucT in human hepatoma tissues: A possible implication for increased fucosylation: Katsuhisa NODA1,2, Eiji MIYOSHI1,2, Yoshitaka IKEDA1, Naofumi UOZUMI1, Norio HAYASHI2, Naoyuki TANIGUCHI1 (1Dept. of Biochem. and 2First Dept. of Medicine, Osaka Univ. Med. Sch.)

【背景】α1-6FucTは、N型糖鎖の根元のGlcNAcにフコースを転移する酵素である。この糖鎖構造は肝癌患者におけるα-fetoprotein(AFP)の癌性変化として注目されている。本研究では、ヒト肝癌組織におけるα1-6FucTの発現を検討し、培養肝細胞を用いてフコシル化のメカニズムを解析した。
【方法】手術時に得たヒト肝癌サンプル12症例よりRNAを抽出し、α1-6FucTの発現をノザン法で検討した。酵素活性は既報に従い、HPLCで解析した。N型糖鎖の解析は、LCA blotにて行った。肝癌細胞とラット初代肝細胞にα1-6FucT遺伝子を導入し、フコシル化の変化を検討した。
【結果】α1-6FucTの遺伝子発現と酵素活性は慢性肝疾患で上昇し、癌部と非癌部の比較では、症例ごとに異なっていた。 α1-6FucT遺伝子の導入により、肝細胞の蛋白のフコシル化が増加した。肝癌細胞の系では、AFPのフコシル化が増加した。
【結論】 肝癌におけるAFPのフコシル化は複雑なメカニズムによることが示唆された。