ABSTRACT 1649(P6-3)
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ヒト腎細胞癌細胞における糖脂質硫酸転移酵素遺伝子の発現:本家孝一(大阪府母子セ・研・代謝)

Cancer-aasociated Expression of Glycolipid Sulfotransferase Gene in Human Renal Cell Carcinoma Cells: Koichi HONKE (Res. Inst., Osaka Med. Ctr. for Maternal and Child Hlth.)

【目的】ヒト腎癌組織では、正常腎組織と比べて著明な糖脂質硫酸転移酵素(CST)活性の亢進に伴う硫酸化糖脂質の蓄積がみられる。最近、我々は腎癌細胞からヒトCSTcDNAのクローニングに成功した。本研究では、種々のヒト腎細胞癌細胞株と対照正常細胞におけるCST遺伝子の発現と、既知のCST活性調節因子のCST遺伝子発現への影響を調べた。【材料・方法】ヒト正常近位尿細管細胞と7種の腎細胞癌細胞株を用いた。CST遺伝子の発現は、ノザン解析にて行った。CST活性は、以前に我々が開発した方法を用いた。糖脂質は、酸性糖脂質を分離後TLCで解析した。同定には抗スルファチド単クローン抗体を用いた。【結果】正常細胞と比べて、6種の腎癌細胞でCST転写物が顕著に増加していた。1種は若干増加していた。CSTmRNAの発現量は酵素活性と相関していた。糖脂質の解析では、SM3 (ラクトシルセラミド硫酸)の発現量がCSTレベルと相関していた。TPA慢性投与とゲニスタインによるCSTmRNAの低下は、全ての腎癌細胞株でみられた。【結論】ヒト腎細胞癌細胞では、蛋白キナーゼCとチロシンキナーゼを介して糖脂質硫酸転移酵素遺伝子の発現が亢進している。