ABSTRACT 1715(P7-1)
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マウス大網組織を用いた胃癌細胞接着の測定系:岡村明彦1、西村東洋2、田中 進2、浅尾高行1、足立正一2、桑野博行1、矢澤 伸21群馬大・医・一外、2日本抗体研)

Evaluation of an ex vivo method for assaying adhesion of cancer cells to mouse great amentum : Akihiko OKAMURA1, Toyo NISHIMURA2, Susumu TANAKA2, Takayuki ASAO1, Masakazu ADACHI2, Hiroyuki KUWANO1, Shin YAZAWA2 (1First Dept. of Surgery, Gunma Uni., 2Japan Immunoresearch Lab.)

【目的】我々は既に腹膜中皮と胃癌・大腸癌細胞を用いたex vivoの細胞接着測定系を報告している(1)が、癌細胞腹腔内接種によるマウス癌性腹膜炎モデルにおいては大網或いは腸間膜組織に特異的に腫瘍塊が形成されることから、同部位への癌細胞接着の解析は播種の機構解明に有用である.今回新たにマウス大網組織を用いて、胃癌細胞の接着を調べる測定系を検討した.
【方法】MKN45, MKN74及びcolon26 細胞を[3H]thymidine で標識した後、BALB/cマウスから摘出した大網を浮遊させた 培養液を含む遠心管に加え(1 x 10^5 cells/ml) 、37°C で回転培養した.培養後、加えた全細胞及び大網組織の可溶化分画、大網組織を除いた培養液の遠心沈査の可溶化分画中のそれぞれの放射活性を測定して、各細胞の大網への接着率を求めた.また同時に培養温度、時間をそれぞれ変えて、接着率の変化を調べた.
【結果・考察】各々の接着率は全細胞の放射活性に対して、大網組織の可溶化分画中の放射活性或いは加えた全細胞から非接着の浮遊細胞の放射活性を差し引いたいずれからも求められた.また培養6時間まで胃癌細胞の大網組織への接着率は増加し、それ以降或いは培養温度の低下によってはいずれも接着率は減少した.従って、本法は従来の腹膜中皮を使用した ex vivo 系に比べ、接着関連物質及び抗接着活性物質(2)を検討する実験系として簡便で有用と考えられる.
(1) Cancer Lett., 78:57-62, 1994; (2) Cancer, 75:1539-1544, 1995.