ABSTRACT 1716(P7-1)
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胃癌細胞の大網への接着を阻害する合成糖鎖: 西村東洋、岡村明彦、田中 進、浅尾高行、足立正一1、 桑野博行2、矢澤 伸日本抗体研、群馬大・ 医・ 一外)

Inhibiting activities of chemically synthesized oligosaccharides against adhesion of gastric cancer cells to mouse great omentum: Toyo NISHIMURA1, Akihiko OKAMURA2, Susumu TANAKA1, Takayuki ASAO2, Masakazu ADACHI1, Hiroyuki KUWANO2, Shin YAZAWA1 (1Japan Immunoresearch Lab., 2 1st Dept. of Surgery,Gunma Uni.)

【 目的】 腹膜播種性転移の第一段階として、癌細胞の腹膜への接着が重要であるが、我々は腹膜を用いた ex vivo の系で胃癌・大腸癌細胞の接着と各細胞表面糖鎖の接着への関与について既に報告した(1, 2).今回、マウス大網組織を用いた胃癌細胞の接着測定系( 詳細は別報告)により、各種糖鎖の抗接着活性を調べた.
【 方法】 [3H]Thymidineで標識したMKN45及びMKN74ヒト胃癌細胞を加えた培養液 (1×105 cells/ml)にBalb/c マウスから摘出した大網組織を浮遊させ、37℃で4時間回転培養した.培養後、加えた全細胞及び大網組織の可溶化分画、大網組織を除いた培養液の遠心沈査の可溶化分画中の各々の放射活性を測定し接着率を求めた.同時に培養液に種々の糖蛋白質及び化学合成糖を加えて細胞の接着率の変化を調べた.
【 結果・ 考察】 MKN45及びMKN74細胞ともにマウス大網組織への強い接着が認められた.MKN45細胞のマウス腹膜への接着を阻害する糖鎖として既に報告している(2) ごとく、3'SO3Galβ1,4Glcβ、Galβ1,3GalNAcα及びasialo-fetuinなどが大網組織への胃癌細胞の接着を強く阻止した.これら糖鎖がいずれもフコース転移酵素の基質となりうることから、大網組織を用いた腹膜播種のex vivo の測定系においてもフコース転移酵素の基質である糖鎖が細胞接着阻害物質として有効であると考えられた。
(1) Cancer Lett., 78:57-62, 1994; (2) Cancer, 75:1539-1544, 1995.