ABSTRACT 1718(P7-1)
Green fluorescent protein発現癌細胞を用いた簡便なインベージョンアッセイ法の確立 : 渡辺 徹, 笠岡達彦, 中島元夫(ノバルティスファーマ・宝塚研究所・創薬研究部)
A convenient and quantitative invasion assay by using tumor cells expressing green fluorescent proteins: Toru WATANABE, Tatsuhiko KASAOKA, Motowo NAKAJIMA (Discovery Research, Takarazuka Res. Inst., Novartis Pharma, K.K.)
癌細胞の転移浸潤能の評価系として、インベージョンアッセイが広く用いられているが、従来、マトリゲルを重層したチャンバーを浸潤した癌細胞を染色しカウントする方法、およびMTT法などにより浸潤細胞を定量する方法などが用いられてきた。これら従来法では、インキュベーション後の細胞の定量に多くの時間を必要とし、同時に大量のサンプルが処理できない欠点があった。また、染色後の細胞カウントにおいては、視野の選択が観察者の主観に依存してしまう欠点もある。今回、これらの欠点を補うために、Green fluorescent protein(GFP)発現癌細胞を用いたインベージョンアッセイの確立を行った。CMVプロモーター下流にGFPを挿入したベクターを用いて、GFP発現線維肉腫HT1080細胞を樹立した。この細胞を用いることにより、マトリゲル上に加えた細胞数および浸潤した細胞数が短時間で簡便に定量可能になった。我々は、GFP発現癌細胞を動物レベルにおける転移能の評価に用いることにより、微小転移の検出が容易に可能になることを示してきた。この細胞を用いることにより、簡便性に優れたインベージョンアッセイが確立できた。