ABSTRACT 1719(P7-1)
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Sialyl Lewis-XおよびA発現大腸癌におけるcimetidinの転移抑制効果:松本純夫1、梅本俊治1、今枝義博1、小林健一1、岡本尚21藤田学園・医・外、2名市大・医・分子医学研・分子遺伝)

Inhibitory effects of cimetidine on the metastasis of colorectal cancer which express sialyl Lewis-X and A: Sumio MATSUMOTO1, Shunji UMEMOTO1, Yoshihiro IMAEDA1, Kenichi KOBAYASHI1, Takashi OKAMOTO2 (1Dept. Surg., 2nd Teach. Hosp., Sch. Med., Fujita Health Univ., 2 Dept., Molecular Genetics., Nagoya City Univ. Medical School)

目的:cimetidineがE-セレクチンの発現を抑制することを前回報告した (第56回日本癌学会総会記事,445頁)。今回リガンドであるsialyl Lewis-X、A発現結腸直腸癌に対するcimetidine投与の影響を検討したので報告する。対象および方法:治癒切除された進行結腸直腸癌に対し、24時間以内にMMC8mg/m2静脈内投与、術後2周目から5-Fu 200mg/日経口投与1年間したものを対照群として、対照群と同じプロトコールに加えてcimetidine 800mg/日を1年間併用投与したものをcimetidine群として比較対照試験を行った。(抗s-Lex抗体(CSLEX,KM93,FH6)、抗s-Lea抗体(CA19-9)で染色し、遠隔成績とcimetidine投与の有無についての関係を検討した。Log-Rank, generalized Wilcoxon法で推計学的検討をし。危険率0.05以下を有意とした。成績:5生率はcimetidine群91.2%、対照群53.3%(p=o.ooo5)であった。癌細胞が25%以上染色された群で5生率を比較すると、

CSLEXKM93FH6CA19-9
Cimetidine95.5%88.0%88.2%90.9%
5-Fu40.9%40.9%53.3%27.8%

すべてcimetidine投与群が有意に予後良好であった。考察・結語:この結果はs-Lex,s-Lea高発現の腫瘍の血管内皮への着床をcimetidineが抑制したことを示し、新しい固型癌の治療法の一つになりうると考える。