ABSTRACT 1720(P7-1)
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Shear Stress存在下での大腸癌細胞の接着動態の解析 : 北山丈二1 , 名川弘一1, 波多野賢二1, 津野ネルソン1, 長田卓也1, 須並英二1, 中山洋1, 斎藤英昭2 , 武藤徹一郎1 (1東大.外, 2 中手)

Analysis of adhesive properties of colon cancer cell lines in the presence of the shear flow : Joji KITAYAMA1, Hirokazu NAGAWA1, Kenji HATANO1, Nelson TSUNO1, Takuya OSADA1, Eiji SUNAMI1, Hideaki SAITO2, Tetsuichiro MUTO1 (1 Dept.Surgery, Div.Surgical Oncology, 2 Surgical Center, The University of Tokyo)

[目的] 血流によるwall shear stressが常時存在する状態で、血中の遊離癌細胞が、関質成分、血管内皮細胞とどのような接着形式を示すかををIn-Vitro Flow Assayを用いて解析する。[方法] 精製した E-、P-selectin, FN, LM, Col, VNおよび単層血管内皮細胞(HUVEC)上に Flow Chamber を設置し、様々な流速にて培養癌細胞 (colo201, colo320, HT29, DLD1, WiDr)を還流、基質上での細胞の接着、及びその後の動態を Video Camera を通して顕微鏡下に録画し経時的に解析した。[結果] 1. 生理的Shear Stress (1-2 dyn/cm2) の存在下で、多くの細胞株はE-selectinに接着したが、その程度は好中球と比して著しく弱く、同条件下でP-selectinにはほとんど接着しなかった。また、LMに対して高い接着性を示したが、ほとんどの細胞はRollingせず、直後にArrestする形で接着した。またこの接着は抗a6抗体(GoH3)にて部分的に抑制された。2.LMに接着した癌細胞により強い Shear Stress (5-40 dyn/cm2) を負荷してもdetachせず、数分間のうちに偏平化(Spreading)した。3.肝臓内の門脈、肝静脈の血管内皮細胞の細胞質内にはLMが豊富に存在した。[結語] LMは血流の存在下で癌細胞の標的臓器血管床へLodging及びSpreadingを単独で誘導しうる。この接着系は、大腸癌の肝転移、および内皮細胞が障害され基底膜が露出した部位への選択的転移に特に重要な役割を果たしていることが示唆された。