ABSTRACT 1721(P7-1)
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ヒト肺腺癌高転移株PC9/F9におけるintegrinと転移臓器特異性の検討:小野靖, 日比野俊,篠田欣也,竹中圭,松田久仁子,渋谷昌彦,工藤翔二(日本医大第4内科)

Relation of integrins and organ preferential metastasis in highly metastatic human lung cancer cell line (PC9/F9) :Yasushi ONO,Suguru HIBINO,Kinnya SHINODA,Kiyosi TAKENAKA, Kuniko MATUDA,Masahiko SIBUYA,Shoji KUDOH (Fourth Internal Medicine,Nippon Medical School)

ヒト肺腺癌株PC9をヌードマウスの尾静脈より静注し、肺に形成された転移巣を培養、再びヌードマウスに静注、これを繰り返し行い、ヒト肺腺癌株PC9の肺高転移株PC9/F9を樹立した。PC9/F9はPC9よりlamininに対する接着能が亢進し、type IV collagen,fibronectinに対しても強く接着した。FACSによる解析では、PC9 でβ1, α2, α3, α6 がPC9/F9では β1, α2,α3,α4,α5,α6が発現していた。attachment inhibition assayにより発現しているintegrinの機能を検討した結果、PC9/F9のlamininに対する接着は抗β1抗体にて部分的にしか抑制されなかったため、VLAfamily以外のlaminin binding protein等の関与が示唆された。また、type IV collagenに対する接着はVLA2、fibronectinに対する接着はVLA5と一部VLA4によるものと考えられた。PC9/F9を抗asialoGM1抗体にて処理したヌードマウスに静注し形成される肺転移は、抗β1抗体にてPC9/F9を処理する事により、約50%以上の抑制効果が認められた(p<0.05)。そのため、VLA familyがPC9/F9の高転移性に関与していると考えられた。さらに、PC9/F9を、抗acialoGM1抗体にて処理したSCIDマウスに静注した場合、肺、皮下、腎、副腎、腹腔リンパ節等多臓器にわたり転移を形成する事を確認した。この実験系にて、PC9/F9を、β1,α2,α3,α4,α5,α6の各抗体にて処理する事により生じる転移の変化を観察し、この転移系での、VLA familyと臓器特異性について検討しているところである。