ABSTRACT 1722(P7-1)
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ビタミンDによるVLA−4発現に対する負の調節効果:兼子敦子, 鈴木悟, 原政博, 森淳一郎, 橋爪潔志(信州大・医・老年)

1,25(OH)2D3 suppresses the expression of VLA-4 on the surface of HL60 and A375 cells : Atsuko KANEKO, Satoru SUZUKI, Masahiro HARA, Jun-ichirou MORI, Kiyoshi HASHIZUME (Dept.of Geriatrics, Shinshu Univ.)

HL60細胞は活性型ビタミンD[1,25(OH)2D3]により単球、マクロファージに分化する細胞である。我々はこの細胞を用い、インテグリンの発現について1,25(OH)2D3投与による変化をフローサイトメトリーで測定した。インテグリンの抗体はα2, 4, 6, β1, 2を用いた。インテグリンα6とβ2の発現は1,25(OH)2D3投与で上昇し、α2の発現は変化しなかった。インテグリンα4とβ1の発現は1,25(OH)2D3投与後5日目まで減少しプラトーに達した。またこの変化には1,25(OH)2D3の濃度依存性が存在した。インテグリンα4とβ1は二量体を形成しvery late antigen-4(VLA-4)とも呼ばれ、VCAM-1、フィブロネクチンと結合とする接着因子である。インテグリンα4の発現の減少はヒトメラノーマ細胞A375においても観察された。インテグリンα4のmRNA量は1,25(OH)2D3投与によって5日後までほとんど減少しなかった。そのため発現の減少は翻訳後の過程で調節されていると考えられる。VCAM-1は血管内皮細胞に多く発現しているため、1,25(OH)2D3は細胞の内皮細胞への接着を抑制する可能性があり、ひいては癌の転移の進行に影響をあたえるかもしれない。