ABSTRACT 1723(P7-1)
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乳癌におけるインテグリンVLAα3/α5の発現と悪性度との関係について:高澤 博1,斉藤佳明2,佐藤研一21国立千葉病・病理,2千葉大・医・歯口科)

Interrelation between the malignant stage grouping and the expression of VLA(α3/α5)in the breast cancer:Hiroshi TAKAZAWA1,Yoshiaki SAITO2,Ken-ichi SATO2(1Dept.of Pathology,Chiba Natl.Hosp.,2Dept.of Oral Surg.,Chiba Univ.Sch.Med.)

癌の浸潤・転移には接着能、遊離・遊走性、さらには基質破壊性などが複合的に密接に関係しているものと考えられている。我々、過去(第52−56回日本癌学会,日本臨床35:116)にヒト大腸癌、胃癌を用いて接着能・遊走能と悪性度との関係を、VLAα3/α5を指標としその相関/逆相関を発表してきた。今回は消化器外の癌と言うことで乳癌細胞を用いてVLAα3/α5の発現と悪性度との関係を検討した。【研究方法】手術摘出乳癌を用いた。乳癌の病期はtnm分類に由り、stage I:5例、II:6例、III:5例、IV:1例であった。病巣中心部/周辺部を切り出しPLP固定を行い、その凍結切片を作製した後、ABC法にて免疫染色を施した。【結果】stage IIではα3の発現がほぼ全例で強くみられたのに対してα5の発現は弱かった。stage Iではα3の発現がstage IIより弱くα5はほぼ同じであった。しかし、stage III/IVではα3優位が2例、α5優位が3例で、α3の強度発現は2例で、この場合α5も強く発現した。【まとめ】α3発現でみるとstage II/III/IVで6/12例に強く観察された。一方stage Iでは0/5例であった。リンパ節転移例(stage II以上)ではα3の発現がより強く、多数例で発現した。stage IIでα3≫α5の発現の差がみられたが、stage III/IVで発現の程度の差が見出せなかった。その点これからの検討を要するが、α3の発現が転移・浸潤性と相関し、α5が逆相関することが推測された。