ABSTRACT 1724(P7-1)
 ポスターセッション一覧 トップ 


インテグリンαvβ3を介して血管内皮増殖因子(Vascular endothelial growth factor)が誘導する腫瘍血管新生のメカニズム: 遊道和雄, 松井寿夫, 金森昌彦, 大森一生, 安田剛敏, 青木雅人 (富山医薬大・整外)

Stimulatory effect of vascular endothelial growth factor on angiogenesis : Kazuo YUDOH, Hisao MATSUI, Masahiko KANAMORI, Kazuo OHMORI, Taketoshi YASUDA, Masato AOKI (Dept. of Orthopaedic Surgery, Toyama Med. and Pharm. Univ.)

【目的】本研究において、血管内皮細胞膜上に発現する接着分子Integrin αvβ3を介してVEGFが誘導する血管新生のメカニズムを検討した。【方法】 1) 臍帯静脈由来血管内皮細胞HUVECをVEGF 存在、非存在下にIV型コラーゲンゲル 培地にて培養し、HUVECの形成する管腔構造の長さを測定し、管腔形成能を検討した。2)VEGFがHUVECの増殖能、運動能および細胞外マトリックス分解能に与える影響を検討した。3)HUVECの細胞外マトリックス蛋白産生能をNorthern blot法により分析した。4) HUVECを抗integrin αvβ3抗体で処理した場合に、細胞にapoptosisが誘導されるか否かを検討した。【結果】 1) 10%牛胎児血清添加IV型コラーゲンゲルのみで培養した対照群では、HUVECの増殖も管腔形成も見られなかった。VEGF添加群では、HUVEの管腔形成能の増強が認められた。2) VEGFはHUVECの増殖能および運動能の増強作用を有することがわかった。HUVECはVEGF存在下においてIV型コラーゲン分解能を示し、VEGF濃度依存性に分解能増強がみられた。さらに、3) VEGFは、内皮細胞からosteopontin, vitronectin, fibronectin, fibrinogenの産生を誘導することがわかった。また、VEGFは、これらをリガンドとする接着分子integrin αvβ3の発現を内皮細胞膜上に誘導することが示唆された。4) 抗integrin αvβ3抗体存在下においてHUVECにapoptosisが誘導されることがわかった。【考察】 本研究から、内皮細胞はintegrin αvβ3を介して、自らが産生したマトリックス蛋白に接着することでapoptosisを免れ、マトリックス蛋白を足場としながら遊走し、細胞分化をへて管腔を形成していくものと考える。