ABSTRACT 1725(P7-1)
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がん転移初期過程におけるインテグリンαVβ3の役割:PETを用いた解析:奥 直人1,洞口奈津子1,桔川広則1,今福英俊1,岡田昌二1,小池千恵子2,塚田秀夫3,高田義一4,松浦成昭51静岡県大・薬,2ハーバード大・医,3浜松ホトニクス(株),4スクリプス研, 5阪大・医)

Role of Integrin αVβ3 on Tumor Metastasis: PET Analysis: Naoto OKU1, Natsuko HORAGUCHI1,Hironori KIKKAWA1,Hidetoshi IMAFUKU1,Shoji OKADA1,Chieko KOIKE2,Hideo TSUKADA2,Yoshikazu TAKADA3,Nariaki MATSUURA4 (1Sch. Phamaceut. Sci., Univ. Shizuoka, 2Harvard Med.Sch., 3Hamamatsu Photonics., 4The Scripps Res. Inst., 5Sch. Med. Sci., Osaka Univ.)

我々はポジトロンCT (PET)を用いた細胞の非侵襲的生体内動態解析系を用いて、転移性がん細胞の初期動態が転移組織決定に重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。ところでリンフォーマ肝転移へのインテグリンαVβ3の関与、肝転移における遊離ビトロネクチンの関与などが示唆されている。そこで本研究では活性型インテグリンαVβ3を発現するCHO細胞(αVβ3-CHO-K1)を構築し、その生体内動態を親株(CHO-K1)と比較検討した。両細胞の細胞外基質に対する接着、および浸潤に関して検討したところ、αVβ3-CHO-K1細胞はビトロネクチンへの接着・浸潤性を示した。次に細胞を[18F]FDGで標識し、雌性 Balb/c マウスに尾静脈内または門脈内投与後、PET により生体内初期動態を解析した。尾静脈内投与では、両細胞は第一通過臓器である肺に高く集積したが、その集積に差異は見られなかった。一方、門脈内投与の場合には、第一通過臓器の肝に高く集積し、その集積はαVβ3-CHO-K1細胞において顕著であった。この結果は、インテグリンαVβ3が転移性がん細胞の肝集積に関与することを示唆している。現在、転移との相関について検討中である。