ABSTRACT 1726(P7-1)
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卵巣癌組織におけるラミニン5の発現:越川直彦1,水島寛人1,長嶋洋治2,宇田川香織3,,平原史樹3,,宮崎 香11横浜市大・木原研・細胞生物,同医学部・2病理,3,産婦)

Expression of laminin-5 in ovarian carcinoma tissues: Naohiko KOSHIKAWA1,Hiroto MIZUSHIMA1,Yoji NAGASHIMA2, Kaori UDAGAWA3,, Fumiki HIRAHARA3, and Kaoru MIYAZAKI1 (1Kihara Inst. Biol. Res., Yokohama City Univ., Dept. 3,Pathol., and 3,Obste. and Gynecol., Yokohama City Univ. School of Med.)

ラミニン5(LN5)はラミニンα3鎖、β3鎖およびγ2鎖からなるラミニン分子種であり、表皮の構造維持に重要な役割を果たしていることが報告されている。私たちはヒトのスキルス胃癌細胞の培養上清からLN5(ラドシン)を単離し、この蛋白質が他の細胞外マトリックス蛋白質に比べて高い細胞接着活性と細胞運動活性を示すことを明らかにした。また、昨年の本学会総会において、LN5がヒト線維肉腫細胞のヌードマウス皮下での造腫瘍性を促進することを報告した。今回、ヒトの癌組織でLN5の発現を調べるため、LN5のみが持つラミニンγ2鎖に対するモノクローナル抗体を作製し、ヒト卵巣癌組織を用いて免疫組織的な検討を行った。その結果、明細胞腺癌、嚢胞性腺癌、子宮内膜様癌のすべての基底膜でラミニンγ2の発現が検出された。特に、明細胞腺癌は他に比べ著しく高い発現が見られた。以上の結果から、腹膜播種などを起こすことで知られる卵巣癌の増殖と浸潤にLN5が関与する可能性が考えられる。現在、LN5を構成するその他のサブユニットの発現についても検討を行っている。