ABSTRACT 1727(P7-1)
ヒト癌細胞株におけるCD44発現とヒアルロン 酸結合能の検討:安田真一 1、早乙女紘一2、桜井勝清4、田村光信3、嶋田晃一郎3(1獨協医大・医総研,2獨協医大・整形, 3獨協医大・胸外, 4生化学工業 )
Analysis of CD44 expression and hyaluronan binding in human carcinoma cell lines : Shin-ichi YASUDA1, Koichi SAOTOME2, Katsukiyo SAKURAI4, Mitsunobu TAMURA3, Koichiro SHIMADA3 (1Med. Res. Inst., 2Dept. of Orthop. Surg., 3Dep. of Cadio. Surg., 4Seikagaku Co., )
CD 44 分子は、細胞間あるいは細胞-細胞外マトリックス 間の接着を媒介することにより組織構築、細胞増殖、分化、活性化、細胞運動などの重要な生物現象にかかわわっているが、演者らは癌細胞におけるCD 44 発現と転移における役割をCD 44 mRNA および蛋白の発現、リガンドの一つヒアルロン酸との結合能より検討した。
CD 44 mRNA の発現はPCRで蛋白の発現およびFITC ーヒアルロン酸による癌細胞のリガンドへの結合能はフローサイトメトリー法にて、浸潤能はマトリゲル法により検討した。CD 44 のmRNA発現は約60%の細胞で認め、これの細胞にはスプライシングが認められた。F10-44-2 抗体との反応は大部分の細胞で認められ、mRNAの発現が見られた細胞での発現は強い傾向にあった。リガンドのヒアルロン 酸への結合能およびCD 44 の蛋白の発現はTPAとH2O2処理により減少したことから、癌細胞のCD 44 蛋白とリガンドなどの細胞外基質や他の細胞と結合の調節は細胞活性化によりなされていることが示唆された。さらに、マトリゲルの浸潤能はヒアルロン酸結合が認められた株と一致した。癌細胞のCD 44 発現は微小環境において細胞相互関係を通し調節されていると考えられた。