ABSTRACT 1729(P7-1)
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ラット腫瘍血管内皮細胞モノクローナル抗体の認識する抗原遺伝子のクローニング:原田直樹1,谷口健治1,大泉厳雄1,海宝晋一1,角田慎一2,堤康央2,中川晋作2,真弓忠範21中外製薬・富士御殿場研,2阪大・薬)

Molecular cloning and characterization of an antigen recognized by monoclonal antibody against rat tumor-derived endothelial cells: Naoki HARADA1, Kenji TANIGUCHI1, Iwao OHIZUMI1, Shin-ichi KAIHO1, Shin-ichi TSUNODA2, Yasuo TSUTSUMI2, Shinsaku NAKAGAWA2 and Tadanori MAYUMI2 (1Fuji Gotemba Res. Labs., Chugai Pharm. Co., Ltd., 2Fac. Phar. Sci., Osaka Univ.)

【目的】我々は、ラット腫瘍血管内皮細胞(TEC)の表面抗原に対する抗体、TES-23の抗腫瘍効果を報告してきた。本研究では、TES-23抗体が認識する抗原のcDNAをクローニングしたので報告する。【方法と結果】TECまたはROS17細胞を用いた免疫沈降による解析の結果、抗TEC抗体の中でTES-23, TES-27は共に分子量約80kDaの分子を認識した。ROS17細胞よりcDNAライブラリーを作製し、TES-27を用いてパンニング法によりスクリーニングしたところ、2.1kbのcDNAが得られ、標準型CD44遺伝子と一致した。次にTEC由来のCD44 cDNAを単離後、COS細胞に発現させ免疫沈降した結果、TEC由来CD44はTES-23, TES-27 および抗CD44抗体と交差反応性を示した。しかし、TES-23は、ラット腫瘍切片の免疫組織染色で、新生血管内皮だけでなく管腔形成した内皮細胞の双方を強く染色した点において、抗CD44抗体とは異なる反応性を示した。また、TEC mRNAを用いたRT-PCRによりCD44 variantを解析した結果、V6 variantが検出されたが、発現量は少量であった。【考察】TES-23が認識する抗原の少なくとも一つはCD44であった。TES23がCD44の特異な部位を認識する事が、その抗腫瘍効果と関連している可能性が示唆される。