ABSTRACT 1730(P7-1)
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α-MSHによるマウスB16-BL6メラノーマ細胞の運動阻害機序の解析:村田 純1, 鮎川幸一1,2, 小笠原 勝1, 済木育夫11富山医薬大・和漢薬研、 2 信州大・医・加齢適応セ)

Analysis of inhibitory effect of α-MSH on the motility of B16-BL6 melanoma cells : Jun MURATA1, Koichi AYUKAWA1,2, Masaru OGASAWARA1, Ikuo SAIKI1 (1Res. Inst. of Wakan-yaku, Toyama Med.& Pharm. Univ.,2Research Center on Aging and Adaptation, Shinshu Univ.)

【目的】我々はこれまでに神経ペプチド:α-MSH (α- Melanocyte Stimulating Hormone) が、マウスB16-BL6メラノーマ細胞(BL6細胞)による基底膜浸潤及びその運動性を阻害するとともに、マウスの自然肺転移モデルにおいて上記癌細胞の組織浸潤及びその肺転移を抑制することを報告してきた。今回、α-MSHによる細胞運動阻害機序を液性因子の分泌制御に着目して解析した。
【方法、結果】α-MSHは、AMF(Autocrine Motility Factor)により亢進されたBL6 細胞の運動性を抑制したが、この癌細胞からのAMFの分泌及び細胞膜上のAMFレセプター(gp78)の発現には影響を与えなかった。一方、α-MSHでBL6 細胞を前処理した結果、培養上清中にこの癌細胞に対する運動阻害活性が見出された。Forskolinを用いて細胞内cAMPを上昇させた場合にα-MSHと同様の運動阻害活性が誘導されたが、これらの活性はアデニル酸シクラーゼ阻害剤の共存下で抑制された。この培養上清を分画した結果、分子量3kDa以下の画分に運動阻害活性が認められた。この阻害因子は、熱処理(100℃,10min)で失活し、またcycloheximide共存下で細胞をα-MSH処理した場合にその分泌が抑制された。
【考察】α-MSHは、BL6 細胞に対し、オートクリン機構で作用する運動阻害因子の分泌を促進することにより、この癌細胞の運動性を抑制している可能性が示唆された。