ABSTRACT 1732(P7-1)
 ポスターセッション一覧 トップ 


HGF/SFにより惹起される癌細胞のCohort migrationの解析:線維芽細胞による増強効果 鍋島一樹、島尾義也、井上輝彦、片岡寛章、河野正 宮崎医科大学第2病理

Enhancement of HGF/SF-induced cohort migration of carcinoma cells by fibroblasts:Kazuki NABESHIMA, Yoshiya SHIMAO, Teruhiko INOUE, Hiroaki KATAOKA, Masashi KOONO (2nd Dept. of Pathol., Miyazaki Med College)

上皮系の癌細胞は病理組織標本上、大小の胞巣を形成しながら浸潤するが、この集団での移動様式をcohort migration (CM)として提唱し、そのin vitro modelを作成して癌細胞の浸潤移動機序の解析を行ってきた。CMはhepatocyte growth factor/scatter factor (HGF/SF)によって惹起されることを既に報告したが、本研究ではその作用が線維芽細胞により増強される機序について報告する。(方法) RCM-1:L10 (L10)を含む数種のヒト大腸癌細胞株とヒト線維芽細胞を用いた。CM、細胞分散の誘導はLab-Tek chamber assayにて測定した。(結果と考察) L10細胞のHGF/SFによるCMの惹起は0.25x105/mlをピークとして線維芽細胞の共存により増強され、この効果は大腸由来線維芽細胞に強く認められた。CM増強は互いに直接接触することなく線維芽細胞と共培養された癌細胞にも認められたので、可溶性のco-stimulatory factorの存在が示唆された。検索したmotogenic cytokinesの中ではtransforming growth factor (TGF)-βのみがHGF/SFによる大腸癌細胞株のCM、細胞分散を増強し、線維芽細胞のCM増強活性も抗TGF-β抗体によって阻害を受けた。in vivo における癌細胞・線維芽細胞間相互作用によるcytokinesを介した癌細胞の運動の制御の可能性が示唆された。