ABSTRACT 1735(P7-1)
Differential Display法により同定された候補転移関連遺伝子:大山司1,2,三好康雄1,矢守隆夫3,伊藤壽記2,松田暉2,中村祐輔1,4(1阪大・バイオセ・臨床遺伝,2阪大・一外,3癌研・癌化療セ,4東大・医科研・ヒトゲノムシークエンス解析分野)
Isolation of genes associated with cancer metastasis by differential display method: Tsukasa OYAMA1,2, Yasuo MIYOSHI1, Takao YAMORI3, Toshinori ITO2, Hikaru MATSUDA2, Yusuke NAKAMURA1,4 (1Dept. of Med. Genet., Biomed. Res. Ctr., Osaka Univ. School of Med., 2First Dept. of Surg., Osaka Univ. School of Med., 3Cancer Chemother. Ctr., Jpn. Fdn. Cancer Res. 4Lab. Mol. Med., Inst. Med. Sci., Hum. Genome Ctr., Tokyo Univ.)
癌細胞の転移は複数のステップを経て成立し、これらの過程には多数の遺伝子が関与する。我々はこれまでに、同一の親癌細胞株由来で転移能の異なるNL-4、NL-17、NL-22の3種のマウス大腸癌細胞株から精製したmRNAをdifferential display(DD)法を応用して解析し、転移と関連する可能性のある遺伝子の同定を試みている。これらの細胞株はいずれもマウス大腸癌細胞株colon 26由来で、NL-4は転移能がなく、NL-17は血管内移植のみで肺転移を形成、NL-22は皮下移植、血管内移植のいずれでも肺転移を起こす。上記3種の細胞株にDDを施行、発現に差のあるフラグメントをクローニングし、ノザン・ブロットで発現の差が確認されたものについては、遺伝子の単離を行うとともに、ヒトのホモローグを同定、大腸癌肝転移の手術検体における発現を検討した。その結果、 NL17、NL-22で発現が低下あるいは増強しているフラグメントをそれぞれ1種類単離した。発現が減弱しているフラグメントに関しては手術例における検索から肝転移巣での発現低下を確認しており、転移を抑制する機能を有する遺伝子であると考えている。