ABSTRACT 1792(P7-4)
大腸癌自然肝転移モデルを用いたTNP-470の至適投与時期に関する実験的研究:佐野純, 国枝克行, 宮喜一, 深田代造, 佐治重豊(岐阜大学・第二外科)
Experimental Study on Effectiveness of TNP-470 for Metastatic Liver Tumor of Rabbit Colon Cancer in terms of Timing and Periods: Jun SANO, Katsuyuki KUNIEDA, Kiichi MIYA, Daizo FUKADA, Shigetoyo SAJI (Second Deptartment of Surgery, Gifu University)
【目的】血管新生抑制因子TNP-470(TNP)の肝転移抑制効果に関し、当科で樹立した兎大腸癌自然肝転移モデルを用い、有効な投与法を検討した。【方法】まず、兎結腸漿膜下へVX-2腫瘍移植後経時的に開腹し、肝転移形成を観察、また移植後経時的にに原発巣を切除した後の肝転移形成を観察し、肉眼的肝転移形成は移植後28日目、微小肝転移形成時期は移植後10日目前後と想定した。次に、TNPの投与開始時期を腫瘍移植後7、14および28日目の3群に分け、TNPを耳静脈より注入し、その後、肝表面の肝転移結節数をカウントした。なお非投与群をコントロールとした。【結果】肝転移陽性率および平均肝転移結節数は、7日目開始群では、55.6%に陽性で平均5個、14日目開始群は70%で39個であり、コントロール群、28日目開始群の100%で150個、100%で142個より肝転移陽性率、肝転移結節数が少ない傾向を示した。また、転移結節のサイズはコントロール群全例で直径5mmを超える結節が存在したのに対し、TNP投与群では、少数に直径5mm超の結節を認めるのみであった。原発巣の微小血管密度(MVD)の検討では、7日目開始群は他群に比べMVDが低値を示したが、いずれの群においても腫瘍縮小効果は認めなかった。また、肝転移巣ではコントロール群でTNP投与群に比べMVDが高値となる傾向が観察された。【結論】TNPは早期投与により肝転移抑制のための有用な治療法となる可能性が示唆された。