ABSTRACT 1793(P7-4)
血管新生阻害剤TNP-470によるラット膀胱発癌抑制作用の用量反応性:鰐渕英機、永田 智、市原敏夫、サリム, エリサイド、李 祺家、福島昭治(大阪市大・医・1病理)
Dose-response inhibitory effects of anti-angiogenic agent TNP-470 on rat urinary bladder carcinogenesis. Hideki WANIBUCHI, Satoshi NAGATA, Toshio ICHIHARA, Elsayed I. SALIM, Chyi Chia R. LEE, Shoji FUKUSHIMA (First Dept. Pathol., Osaka City Univ. Med. Sch.)
〔目的〕血管新生は腫瘍が発育・進展するためには必須である。我々は、血管新生阻害剤TNP-470を用いて、血管新生阻害によるラット膀胱発癌の抑制効果を明らかにしてきた。今回、TNP-470によるラット膀胱発癌抑制作用の用量反応性および細胞増殖能と腫瘍血管との関係を検討した。〔方法〕6週齢の雄性F344ラットに0.05%BBNを8週間飲料水で投与後、4群に分け、第1〜3群にTNP-470をそれぞれ2.5、1.25、0.6mg/kg/weekの量で、実験終了時までミニポンプで皮下に持続投与した。第4群はBBNのみ投与の対照群とした。動物は実験開始後28週後に屠殺し、膀胱粘膜病変を病理組織学的および免疫組織化学的に検索した。〔結果〕前癌病変のPN過形成の発生頻度と数は、各群70、90、100、100%および1.5、2.5、2.4、3.8個であった。また、腫瘍の発生頻度および数は、各群30、30、80、70%および0.5、0.4、1.7、2.0個と対照群に比べTNP-470投与が1.25mg/kg/week以上の群で有意に抑制され用量反応性が認められた。細胞増殖能の指標であるBrdU標識率および腫瘍血管密度も第1、2群のTNP-470投与群で抑制されていた。〔結論〕ラット膀胱発癌過程において、TNP-470は血管新生を阻害することにより用量反応性に腫瘍の発生を抑制することが明らかとなった。