ABSTRACT 1797(P7-4)
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ヒト胃高分化型進行癌におけるp53遺伝子変異と血管新生:岡本英司,坂谷貴司,五藤 章,庄盛浩平,井藤久雄(鳥取大・医・一病理)

Angiogenesis and p53 gene alteration in Human Gastric Well differentiated Carcinomas : Eiji OKAMOTO, Takashi SAKATANI, Akira GOTO, Kohei SHOMORI, Hisao ITO (First Dept . Pathol., Facul of Med., Tottori Univ.)

【目的】胃癌におけるp53遺伝子変異と血管新生との関連を明らかにする為,in vivo,in vitroの系を用いて検討した.【材料と方法】外科的に切除された胃高分化型進行癌28例のホルマリン固定パラフィン標本を用いた.標本を4μmに薄切後,P53,Vascular endothelial growth factor (VEGF),Thorombospondin (TSP) についてSAB法で免疫染色した.腫瘍内血管はCD34染色を用いて可視化し,x200倍の視野で血管数を算定した.またヒト胃癌由来培養細胞株4株 (MKN-1,MKN28,MKN45,MKN74)にアデノウイルスベクターを用いて野生型p53遺伝子を導入しVEGF,TSP蛋白の発現の変化を検討した.【結果】P53強陽性変異遺伝子群(16例)ではIMVD(intratumoral microvessel density)は193±78,P53陰性野生型遺伝子群(12例)では103±31と有意に前者で高値であった(p>0.05).VEGF陽性症例は前者で69%(11例/16例),後者で58%(7例/12例)と両者に差はなかった.in vitroではVEGFのbasalな発現はMKN-1のみにみられ,p53遺伝子導入によってその発現は減弱した.TSPの発現は見い出されなかった.【まとめ】ヒト胃癌においてp53遺伝子変異は血管新生において重要な役割を担っていることが見い出された.またそれは,VEGF-regulated pathwayのみならず他の因子が介在している可能性が示唆された.