ABSTRACT 1800(P7-4)
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thrombospondin-1から得られた4N1K peptideは、培養血管内皮細胞の分化を抑制し、かつマウスの角膜でのin vivo angiogenesisをも抑制する:神田 滋、正野武文、斉藤 泰(長崎大・医・泌)

4N1K peptide, derived from C-terminal cell binding domain of thrombospondin-1, inhibits differentiation of capillary endothelial cells in vitro and neovascularization in vivo: Shigeru KANDA, Takefumi SHONO, and Yutaka SAITO (Dept. of Urol. Nagasaki Univ. Med. Sch.)

血管新生は、固形悪性腫瘍の増殖に重要な役割をはたしている。thrombospondin-1 (TSP-1)は、強力な血管新生抑制分子の1つで、6つのドメインからなる多機能蛋白であることから、血管新生抑制作用のメカニズムについてはまだ不明の点が多い。4N1K peptide (KRFYVVMWKK)はTSP-1のC末端側のcell binding domainからえられたペプチドで、native TSP-1と同様にマウス脳由来毛細血管内皮細胞(IBE細胞)のFGF-2で刺激された分化を抑制したが、TSP-1とは異なり、FGF-2依存性増殖には影響しなかった。4N1K peptideは、IBE細胞の分化する条件下ではfocal adhesion kinase (FAK)と phospholipase-C gamma (PLC-g)のtyrosine phsophorylationを抑制したが、増殖条件下では抑制しなかったことから、integrin とFGF receptorのシグナル伝達経路に影響をおよぼすことで分化を抑制することが示唆された。この、内皮細胞の分化特異的な抑制ペプチドは、マウスの角膜でFGF-2によって刺激される血管新生を強く抑えたことから、より血管内皮細胞特異的なangiogenesis inhibitorになりうると思われた。