ABSTRACT 1803(P7-4)
 ポスターセッション一覧 トップ 


マクロライド系抗菌剤ロキシスロマイシンの血管新生抑制作用の検討:高橋博人1,安部まゆみ2,佐藤靖史2,藤村重文31自衛隊仙台病院外科,東北大・加齢研・2腫瘍循環,3呼吸器再建)

Roxithromycin,a macrolide antibiotics,is an inhibitor of angiogenesis:HirotoTAKAHASHI1,Mayumi ABE2,Yasufumi SATO2, and Shigefumi FUJIMURA3(1Dept.Surg.Self Defense Force Sendai Hosp.2Dept.Vasc.Biol.,3Dept.Thorc.Surg.,Inst.Develop. Aging and Cancer,Tohoku Univ.)

(目的)固形癌の増殖,転移はその血管新生能に依存している。血管新生をターゲットとして癌の治療に用いるべく多くの血管新生抑制剤が研究開発されているが、その多くは開発段階で臨床応用はなされていない。我々は,他の効能について臨床で既に投薬されている薬剤の中に血管新生抑制作用を併せ持つ薬剤として,抗真菌剤クロトリマゾール,抗アレルギー剤トラニラストを見い出している。今回我々は,マクロライド系の抗菌剤ロキシスロマイシン(RXM)が血管新生抑制作用を持つことを見い出したので報告する。
(結果)マクロライド系抗菌剤RXMは,培養条件において,血管新生因子bFGFによるウシ毛細血管内皮細胞(BCEC)の増殖を抑制し,その抑制効果は用量依存性で,50μMの濃度で最大抑制効果が得られた。さらにRXMは,bFGF刺激によるBCECの遊走及びI型コラーゲンゲルでの管腔形成を抑制した。
(結論)RXMは血管内皮細胞の増殖,遊走および管腔形成能を抑制した。RXMは現在すでに抗菌剤として臨床で投薬されている薬剤であり,慢性副鼻腔炎等に少量持続投与が行われていることより、血管新生抑制剤として固形癌の治療に応用できる可能性が高いと考える。