ABSTRACT 1811(P7-4)
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新規合成ステロイドDienogestによる血管新生の抑制:中村正樹1,2,及川 勉都臨床研・化学療法,持田製薬・安全研)

Inhibition of angiogenesis by dienogest, a novel synthetic steroid: Masaki NAKAMURA1, 2, Tsutomu OIKAWA1 (1Dept. of Cancer Therapeut., Tokyo Metrop. Inst. Med. Sci., 2Toxicol. Lab., Mochida Pharm. Co., Ltd.)

[目的]血管新生は癌の増殖・浸潤,再発転移といった癌増悪機能に深く関わっていると認識されつつある。このことは,血管新生が癌治療の新しい分子標的になる可能性を示すものと期待できる。我々は抗血管新生療法の確立に不可欠な血管新生阻害物質を探索し,これまでにいろいろな化合物が血管新生を抑制することを見出してきた。一方, Dienogestは子宮内膜症治療薬として開発中の新規合成ステロイドである。血管新生は子宮内膜症の発症にも関与すると想定されている。そこで今回,我々はDienogestが血管新生抑制作用を示すかを2種類のin vivo検定法を用いて検討したので報告する。
[方法]in vivo血管新生阻害作用はすでに報告した鶏胚漿尿膜法とマウス背部皮下法を用いて調べた。
[結果・考察]Dienogestは鶏胚漿尿膜上の血管新生を用量依存的に抑制し,そのID50値は約6 nmol/eggであった。この抑制作用は既知の血管新生阻害剤(乳癌治療剤)であるmedroxyprogesterone acetate(MPA)よりも強力であった。さらにマウス背部皮下法を用いて腫瘍血管新生に対する作用を検討したところ,Dienogestはマウス腫瘍細胞S-180が誘導する血管新生を経口投与で強力に抑制した。この抑制は用量依存的であり,1 mg/kg/dayで統計学的に有意であった。以上の結果は,Dienogestが新しい経口型の血管新生抑制剤であり,血管新生抑制作用を作用機序とする癌治療剤になる可能性を示すものと考えられる。併せて,in vitro実験結果についても報告する。