ABSTRACT 1812(P7-5)
食道扁平上皮癌のリンパ節転移巣における細胞周期調節遺伝子発現異常の検討:竹内裕也、小澤壯治、安藤暢敏、北川雄光、小柳和夫、上田政和、北島政樹(慶大・医・外)
Correlation between aberrant expression of cell cycle regulators and lymph node metastasis in squamous cell carcinoma of the esophagus: Hiroya TAKEUCHI, Soji OZAWA, Nobutoshi ANDO, Yuko KITAGAWA, Kazuo KOYANAGI, Masakazu UEDA, Masaki KITAJIMA (Dept. of Surg., Sch. of Med., Keio Univ.)
【目的】p16とcyclin D1遺伝子産物はCDK4によるRB蛋白のリン酸化を介して細胞周期G1/S期の進行を調節している。教室ではこれまでにp16とcyclin D1遺伝子発現異常が食道扁平上皮癌の悪性度に関与する因子であることを報告してきた。今回食道癌原発巣とリンパ節転移巣のp16、cyclin D1、RB発現異常を比較検討した。
【対象と方法】リンパ節転移を有する胸部食道扁平上皮癌切除例50例を対象とした。p16、cyclin D1、pRB各抗体を用いて腫瘍原発巣最深部とリンパ節転移巣の免疫組織染色を施行した。p16とpRBは発現(+)群(正常)、(−)群(異常)、cyclin D1発現は(+)群(過剰発現)、(−)群(正常)に分類した。【結果】原発巣50例中、p16異常群26例(52%)、cyclin D1異常群17例(34%)、RB異常群9例(18%)であった。リンパ節転移巣ではp16異常群34例(68%)、cyclin D1異常群24例(48%)、RB異常群9例(18%)だった。p16発現で原発巣/リンパ節転移巣の関係(T/LN)は正/正16例、異/異26例、正/異8例、異/正0例であった。cyclin D1発現のT/LNは正/正21例、異/異12例、正/異12例、異/正5例であった。【結論】原発巣に比べリンパ節転移巣でp16発現異常は増加する傾向を認めたが、リンパ節転移巣におけるcyclin D1発現異常は必ずしも原発巣の異常を反映していなかった。p16発現異常とリンパ節転移との関連性が示唆された。