ABSTRACT 1814(P7-5)
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早期大腸癌におけるアポトーシスとp53蛋白過剰発現:渡辺一三1, 豊田昌夫1, 奥田準二1, 天上俊之1, 川崎浩資1, 杉山俊博2, 谷川允彦1 (1大阪医大・一般・消化器外科, 2秋田大・医・1生化)

Apoptotic activity and Expression of mutated p53 Protein in Early Colorectal Cancer : Ichizo WATANABE1, Masao TOYODA1, Junji OKUDA1, Toshiyuki TENJO1, Hiroshi KAWASAKI1, Tosihiro SUGIYAMA2and Nobuhiko TANIGAWA1 (1Dept Surg., Osaka Med. Coll. 21st Dept Biochem., Akita Univ. Med. Sch. )

【目的】DNAに損傷が生じるとp53が誘導され、アポトーシスにより排除されるかDNA修復が行われる。そこでわれわれは早期大腸癌におけるアポトーシス活性を検索し壁深達度、形態学的特徴およびp53蛋白過剰発現との関連を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】進行癌を含めた大腸癌76例にTUNEL法と抗ss DNA抗体を用いた免疫組織染色法を行い両者のアポトーシス発現を比較した。つぎに早期大腸癌切除91例を対象として以下の検討を行った。大腸癌組織において抗ss DNA抗体、抗p53蛋白抗体を用い、免疫組織染色を行い、アポトーシスと壁深達度、形態学的特徴およびp53蛋白過剰発現との関連を検討した。TUNEL法およびss DNAの免疫組織染色法は、癌細胞1000個中の陽性細胞数をApoptotic Index(AI)とした。p53蛋白は渡辺らの分類に基づき、びまん性または巣状集簇性発現を過剰発現(+)、散在性または陽性細胞なしを過剰発現(-)とした。
【結果】TUNEL法のAIは27.4、ss DNAのAIは7.2で両者は正相関していた(Spearmanの相関係数=0.661)。壁深達度別のAIは、m癌(n=50)が1.8、sm癌(n=41)が2.6であった(p<0.05)。p53蛋白過剰発現(-)例(n=60)のAIは2.3であり、過剰発現(+)例(n=31)の 1.8よりやや高値であった。m癌において過剰発現(-)例(n=41)のAI 2.0は過剰発現(+)例(n=9)の 0.8より有意に高値であった(p<0.05)。また、下田らのPG type(n=64)のAI2.0とNPG type(n=27)のAI2.5との間に有意差は認めなかった。
【結論】早期大腸癌において、アポトーシスは壁深達度と関連し、また、発癌の初期の段階で、p53蛋白過剰発現の有無と関連があると推定された。