ABSTRACT 1819(P7-5)
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大腸・直腸癌辺縁部における筋線維芽細胞の役割: 中山 宏文、 黒田 直人、円山 英昭(高知医大・医・一病理)

The Role of myofibroblasts at the tumor border of colorectal carcinomas: Hirofumi NAKAYAMA, Naoto KURODA,Hideaki ENZAN (First Dep.Pathol., Kochi Medical School)

[目的] 癌細胞は浸潤に伴い、胞巣周囲に種々の程度に線維形成を伴う。今回我々は大腸および直腸腺癌において深達度別に筋線維芽細胞(α-平滑筋アクチン陽性かつ高分子量カルデスモン陰性間質細胞(以下MF))の出現程度を浸潤先進部(以下DB)と浸潤辺縁部(以下LB)で MFの半定量化を試みた。
[材料および方法] 当教室および関連施設で病理組織学的検索をおこなった 大腸および直腸腺癌91症例で、内訳は深達度別にsm癌 25例、mp癌40例、ss癌26例である。抗α-平滑筋アクチン抗体 (clone 1A4, DAKO)および抗高分子量カルデスモン抗体(clone h-CD, DAKO)を用い、DBおよびLBにおけるMF密度を比較検討した。なお、DB, LBに関して、sm癌では、周囲組織との境界全てをsmDB、mp癌では、固有筋層と癌部の境界部をmpDB、粘膜下織と癌組織との境界をmpLBsm、ssあるいはa癌では、漿膜下織と癌部の境界をssDB、粘膜下織と癌部の境界、固有筋層と癌部の境界をそれぞれssLBsm, ssLBmpと定義した。MF数を+(ほとんどなしあるいは少数), ++(中等数), +++(多数)の3段階で判定した。
[結果] DBでは、smDBで、+が7/25(28%)、++が18/21(72%)、+++が0/21(0%)、mpDBで、+が27/40(67%)、++が12/40(%)、+++が1/40(3%)で、ssDBでは、+が5/26(19%)、++が3/24 (12%)、+++が18/24(69%)であった。一方、LBでは、mpLBsmで、+が7/40(26%)、++が30/40(75%)、+++が3/40(8%)で、ssLBsmで、+が12/26(46%)、++が12/26(46%)、+++が2/26(8%)で、ssLBmpで、+が25/26(96%)で、++が0/26(0%)、+++が1/26(4%)であった。
[考察] mpDBおよびssLBmpにMFが少ないことが、大腸・直腸癌の大部分がDukes B以上の進行癌であることに関与していると考えられる。