ABSTRACT 1820(P7-5)
胆管癌治癒切除後の肝転移の実態:高尾尊身,内倉敬一郎,久保昌亮,楊宏慶,松本正隆,新地洋之,愛甲孝(鹿児島大・医・1外)
Liver metastasis after curative resection in bile duct cancer: Sonshin TAKAO, Keiitirou UTIKURA, Masaaki KUBO, Yosihiro YOU, Masataka MATSUMOTO, Hiroyuki SHINCHI, Takashi AIKOU (1Dept. of Surg., Kagoshima Univ.)
[目的]治癒切除の行われた胆管癌での再発形式の実態と臨床病理学的因子との関連性を検討した。[方法]胆管癌64例の手術治癒度(治癒度A:組織学的に腫瘍は切除され,リンパ節郭清度が組織学的転移度を上回り,胆管の肝側および十二指腸側断端から5mm以内は癌細胞陰性,治癒度B:AとCを除く切除術,治癒度C:組織学的に腫瘍の残存あり)と再発形式を検索した。次いで,臨床病理学的因子との関連性を統計学的に解析した。[結果]全症例の5年生存率は28%,治癒度A (n=42)は38%,治癒度B (n=16)は11%,治癒度C (n=6)は0%であった。再発形式で最も多いのは肝転移再発で30%,治癒度別ではA:31%,B: 31%,C:17%であった。一方,リンパ節転移はA:2%,B: 19%,C:33%,腹膜播種はA:5%,B: 19%,C:17%で,治癒手術によるリンパ節転移および腹膜播種のコントロールは良好であった。臨床病理学的因子の中でリンパ管侵襲と静脈侵襲は独立予後因子であり,静脈侵襲は肝転移と関連していた。[考察]治癒切除による予後は期待していたほど良好ではなく,再発形式は肝転移が最も多かった。脈管侵襲と血行性転移が密接に関連しており,肝転移に対する術後療法が重要である。