ABSTRACT 1821(P7-5)
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膵癌における遺伝子異常の検討-転移との相関について:井村 穣二1,冨田 茂樹2,井口 東郎3,児崎 隆純4藤盛 孝博2,尾形 佳郎5(1栃木がんセ・研究検査,5同・外科2獨協医大・第二病理,3九州がんセ・臨床研究,4SRL・遺伝子染色体解析セ)

Genetic abnomalities in pancreatic cancer-correlation of metastasis: Joji IMURA1, Shigeki TOMITA2, Haruo IGUCHI3, Takazumi KOZAKI4, Takahiro FUJIMORI2, Yoshiro OGATA5 (1Dept. of Clin. Res. and Lab., 5Dept. of Surg, Tochigi Cancer Ctr, 22nd. Dept. of Pathol. Dokkyou Univ. Sch. Med. , 3Dept. of Biochem., Natl. Kyusyu Cancer Ctr, 4SRL Inc.)

【序言】膵癌における遺伝子コピー数異常をComparative genomic hybridization(CGH)法を用い検索すると共に、転移との相関について検討を行った。
【方法】ヒト膵癌由来細胞株10株を検索材料とした。転移能の検討にはヌードマウス脾移植、肝転移アッセイ法を用いた。CGHは従来法を改変し、直接蛍光色素を標識する方法で行った。また、CDKN2、p53およびDPC4遺伝子に関し、その欠失の有無、変異形式並びにmethylationの有無、さらにこれら遺伝子産物の発現についても免疫組織学的に検索した。
【結果】CGHで検索した10株において、遺伝子コピー数が減少している領域を3p、6q、9p、17pに認めた。一方、増幅領域は3q、8p、8q、12q、20q、21qであった。高転移株と低転移株群との比較検討では、コピー数の異常に有意な差は認められたかったが、高転移株の内、親株と肝転移巣から樹立した子株とに株間での差を認めた。一方、コピー数異常を示した株では、CDKN2、p53、DPC4等にそれぞれ欠失や点突然変異等が認められたが、これら遺伝子異常と転移能との有意な相関は認められなかった。
【結語】膵癌においていまだ報告されていない遺伝子異常をCGH法を用い捕捉することができただけでなく、転移との関連性に関して、一部において、これら現象成立を制御する遺伝子の存在を推察する結果が得られた。