ABSTRACT 1825(P7-5)
広範囲乳管内進展を伴う浸潤乳管癌の病理組織学的検討(第1報):溝口良順、笠原正男、村上正基、堀ハルナ、小森克彦、黒田 誠(藤田学園・医・病理)
Histopathological studies on invasive ductal brest cancer combined with marked intraductal spread:
Yoshikazu MIZOGUCHI,Masao KASAHARA,Masamoto MURAKAMI,Haruna HORI,Katsuhiko KOMORI,Makoto KURODA(Dept.of Pathology.Fujita-Health Univ.Sch.Med.)
[目的]乳癌は現在症例によって手術による切除範囲は縮小傾向にあり、その切除範囲は術中凍結迅速診断において確認がなされている。我々は切除範囲が重要となる浸潤性乳管癌で広範な乳管内浸潤を認めた浸潤癌症例10症例について病理組織学的な所見を中心に臨床病理学的に検討を加えたので報告する。
[症例]症例は31〜63歳(中央値50.4歳)で左が4例、右が6例。t1が8例、t2が2例。所属リンパ節転移は10症例中2例に認められた。
[結果]病理組織学的にはscirrous ca.3例、solid tubular ca.3例、papillotubular ca.1例、papillary ca.1例、apocrine ca.1例、invasive lobular ca.が1例であった。広範囲乳管内進展部の組織像はpapillary,low-papillary, comedoの像を呈した症例が8例でその他lobular ca,apocrine ca.(papillotubular ca.)であった。広範囲乳管内進展をきたす症例の主病巣はt1が8例と乳管内進展に比べて小型結節性で組織学的には比較的分化度の低いscirrous ca.,solid tublar ca.症例が大多数を占めた。広範囲乳管内進展部ではpapillary,low-papilly, papillotubular, comedoとnon invasive ductal carcinomaで認められる組織型が混在していた。以上組織学的には主病巣周辺部での非浸潤性乳管癌像は広範囲進展の可能性があることが示唆された。