ABSTRACT 1830(P7-5)
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グリオーマと脳におけるEMMPRINの発現と分布:鮫島哲朗, 鍋島一樹2, 森山拓造1, 上原久生, 河野寛一1, 脇坂信一郎l, 河野 正2 (宮崎医大・脳外科, 2同・第2病理)

The expression and distribution of EMMPRIN in glioma and normal brain : Teturo SAMESHIMA1, Kazuki NABESHIMA2, Takuzo MORIYAMA1, Hisao UEHARA1, Hirokazu KAWANO1, Tadashi KOHNO2, Shinichiro WAKISAKA1 (1 Dept. of Neurosurg., Miyazaki Med. Col., 2 2nd. Dept. of Patho., Miyazaki Med. Col.)

EMMPRIN(CDl47;旧名TCSF)はImmunoglobulin Superfamily に属する35-58kDの膜蛋白で、ヒト癌細胞で発現し正常線維芽細胞からのMMP-l,2,3の産生を刺激する。そのcDNA解析より胎生期脳で発現するマウスBasigin及びトリの血液脳関門(BBB) 特異的抗原HT7 のヒトhomologueと考えられたので、正常成人脳および gliomaにおけるEMMPRINの発現を検討した。(方法)正常脳6例、astrocytoma3例、glioblastoma11例、glioma 細胞株5株を用いてEMMPRINの発現をRT-PCR、immunoblot、免疫組織化学的に検討した。(結果と考察)RT-PCRでは検索されたほほ全ての組織とglioma 細胞株でEMMPRINの発現が検出されたが immunoblot による蛋白レベルでの発現量には大きな差が認められた。細胞株では52-50kD、組織では42-40kDの蛋白として発現しており、正常脳に比べてglioma では増加していた。さらに、免疫組織化学的には正常脳ではEMMPRINの発現は血管内皮細胞のみに限られているが glioma では腫瘍細胞の細胞膜に強く認められ、血管内皮細胞での発現は減少していた。EMMPRINは正常では血管内皮細胞でのBBB形成に関与し、glioma では腫瘍細胞に発現して浸潤に寄与することが推定されるが、その機能的役割についてさらに検討を加え、諸臓器の血管内皮での発現との比較もあわせて報告する。