ABSTRACT 1832(P7-6)
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食道癌におけるurokinase-type plasminogen activator, plasminogen activator inhibitor-2の発現
塩見尚礼1,江口 豊2,小玉正智1,服部隆則31滋賀医大第一外科,2同集中治療部,3同第一病理)

The expression of urokinase-type plasminogen activator and plasminogen activator inhibitor-2 in esophageal carcinoma.: Hisanori SHIOMI1, Yutaka EGUCHI2, Masashi KODAMA1, Takanori HATTORI3 (11st Dept. of Surg.; 2ICU.; 3Dept. of Path., Shiga Univ. of Med. Sci.)

【目的】urokinase-type Plasminogen Activator (uPA)の発現が癌の浸潤転移に深く関与していることは数多くの基礎実験で指摘されているが,PA Inhibitor-2 (PAI-2)発現の意義は一定の見解を得ていない.今回,食道癌におけるuPA、PAI-2の発現を免疫組織化学、ISH法を用いて臨床病理学的に検討した.【対象】当科にて切除された食道癌66例.【方法】免疫染色は各monoclonal抗体を用いSAB法により行った.ISHは20症例に行い,各RNA probeを作成して標識はdigoxigeninで行った.【結果】(1)uPAの癌細胞での発現率は,mRNAが60%,抗原が23.2%であった.一方間質細胞での発現率はmRNAが30%,抗原が17.9%であった.(2)PAI-2の癌細胞での発現率はmRNAが30%,抗原が17.9%であった.また間質細胞ではmRNAが15%,抗原が44.6%であった.(3)病理学的因子との関係では,uPA,PAI-2とも浸潤転移が高度になるとmRNA,抗原陽性率が増加した.特にリンパ節陽性,血行性転移陽性,H因子陽性でuPA抗原陽性率が有意に増加した.(4)Kaplan-Meier法による生存率の比較では,uPA抗原陽性症例とuPA抗原陰性PAI-2抗原陽性症例は有意に予後不良であった.(5)Coxの回帰モデルを用いた検討では,uPA抗原陽性とPAI-2抗原陽性はリンパ節転移陽性と並んで独立した予後規定因子であった.【結語】uPAとPAI-2は食道癌において浸潤転移に深く関与し,予後因子として有用である.