ABSTRACT 1836(P7-6)
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大腸癌先進部間質のマクロファージと血行性転移形成との関連について: 斎藤一也1,2,大谷明夫1,内藤吉隆1,佐藤永一1,椎葉健一2,松野正紀2,名倉 宏1(1東北大・医・病理形態,2同・第一外科)

Function of macrophages to hematogenous metastasis along the invasive margin of colorectal cancer : Kazuya SAITO1,2,Haruo OHTANI1,Yoshitaka NAITO1,Ken-ichi SHIIBA2,Seiki MATSUNO2,Hiroshi NAGURA1(1Dept. of pathology, Tohoku univ.,2Dept. of surg. I, Tohoku univ.)

【目的】大腸癌における予後因子として血行性転移再発は重要な因子である。このような血行性転移再発に代表される癌の悪性度は癌細胞の性質とそれに対する宿主反応により決まると想定されている。すでに我々は同時性肝転移を有する大腸癌先進部間質ではCD68陽性細胞数が有意に少ないことを報告し、癌先進部間質のマクロファージは血行性転移形成に対して抑制的であることを示唆した。今回,癌先進部間質マクロファージ数の多寡が血行性転移再発における原因なのか,または結果なのかを明らかにするため異時性血行性転移群を用いて同様の検討を行った。【方法】根治術後1カ月以上経過して血行性転移再発をきたした症例45例を対象とし、5年以上の無病期間を有する症例84例をコントロールとした。10%フォルマリン固定・パラフィン包埋切片を用いSAB法にて免疫染色を行い定量化した。【結果】再発例では先進部間質におけるCD68:14.6±11.9, 非再発群ではCD68:87.6±33.7 であり再発群において少なく,p<0.0001で有意差を認めた。(Mann-Whitney U test)【考察】以上の結果より癌先進部間質マクロファージ数の少なさが血行性転移の原因となることが示唆された。そこでは免疫学的機序が想定される。また,MMP-9,uPARとも再発群と非再発群との有意差はp<0.0001と大きくマクロファージの機能に関与していると推測した。