ABSTRACT 1837(P7-6)
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肝細胞癌における転移抑制遺伝子nm23-H1およびsyndecan-1の発現低下と術後1年再発の検討:
田中浩二,藤本佳範,生田克哉,鈴木康秋,大竹孝明,斉藤浩之,大平基之,高後 裕(旭川医大・三内)

Analysis of syndecan-1 and nm23-H1 expressions as recurrence markers after surgical resection of hepatocellular carcinoma. : Kohji TANAKA, Yoshinori FUJIMOTO, Katsuya IKUTA, Yasuaki SUZUKI, Takaaki OHTAKE, Hiroyuki SAITO, Motoyuki OHHIRA, Yutaka KOHGO (3rd Dept. of Int. Med., Asahikawa Med. College)

【目的】Syndecan-1はtransmembrane heparan sulfate proteoglycanのひとつで,近年,我々はこの発現がNDP kinaseであるnm23-H1と同様に肝細胞癌の転移能と逆相関することを明らかにした.今回,肝細胞癌の外科手術症例を用いてnm23-H1とsyndecan-1の発現の検索が術後再発予測に有用であるか否かを検討した.【方法】肝細胞癌外科手術症例21例について検索した.nm23-H1の発現にはH1-229 抗体,Sndecan-1の発現にはBB4抗体を用いてABC法により免疫染色を行った.癌部での発現低下は周囲非癌部との比較で判定した.【結果】 術後1年再発は多中心性発生を含めて21症例中7例(33%)であった.臨床病理学的検討では血管浸潤が術後1年再発に最も関与していた.nm23-H1およびSyndecan-1の発現低下はその21症例中それぞれ8例(38%),12例(57%)であった.nm23-H1またはSyndecan-1各々の発現と術後1年再発の検討では有意な相関は認めなかったが,nm23-H1およびSyndecan-1両方の発現の検討では,ともに発現の低下している症例がどちらも低下していない症例に比較して有意に術後1年に再発していた.【結論】肝細胞癌においてnm23-H1およびSyndecan-1の発現を検索することは術後再発を予測するのに有用であった.