ABSTRACT 1840(P7-6)
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表在性尿路上皮がんの基底膜破壊におけるマトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)発現の意義の解析:筧 善行, オズデミール エンワー, 奥野 博,吉田 修(京大・医・泌)

Role of matrix metalloproteinase-9 in the basement membrane destruction of superficial urothelial carcinomas: Yoshiyuki KAKEHI, Enver OZDEMIR, Hiroshi OKUNO, Osamu YOSHIDA (Dept. of Urol., Fac. of Med., Kyoto Univ.)

【背景・目的】我々は、表在性尿路上皮がんの基底膜でのタイプIVコラーゲンの発現消失とp53/mdm2の過剰発現の間に強い相関関係があることを報告した(J. Urol. 158:206-211, 1997)。本研究では基底膜破壊の原因と考えられるマトリックスメタロプロテアーゼ群の発現の意義を解析する。【方法】60例の尿路上皮がん(41例がpTa またはpis、19例がpT1-4)組織を脱パラ後、MMP-1, 2, 9およびtype IV col.に対する単クローン抗体にて免疫染色を行った。上記症例中33例の術前尿と16名の健常人尿に対し、MMP-9およびTIMP-1の濃度をEIA法により測定した。【結果】MMPsの発現陽性率(腫瘍細胞の25%以上)はMMP-1:53%、MMP-2:17%、MMP-9:65%であった。腫瘍のgrade、stageとは、MMP-9とのみ有意な相関がみられた(p=0.03:Krusskal Wallis test)。尿中MMP-9は患者群では全例0.9-15.2ng/mlの範囲で検出されたが、健常群では全て検出限界以下であった。尿中TIMP-1は患者群18/33(54.5%)で検出されたが、健常群では検出限界以下であった。患者尿中MMP-9とTIMP-1 は、表在性腫瘍でtype IV col.の発現が保持された群でよく相関していた(R2=0.551)。【考察】表在性尿路上皮がんの基底膜破壊において、MMP-9が重要な役割を担っていることが示唆された。