ABSTRACT 1842(P7-6)
乳癌におけるMRP-1/CD9とKAI1/CD82の予後不良因子としての役割:黄 政龍,瀧 俊彦,足立匡司,小西孝明,橋田裕毅,三宅正幸(北野病院・胸外・第5研究室)
MRP-1/CD9 and KAI1/CD82 as poor prognostic factors among breast cancer patients: Cheng-long HUANG, Toshihiko TAKI, Masashi ADACHI, Takaaki KONISHI, Hiroki HASHIDA, Masayuki MIYAKE (Dept. Thorac. Surg., Dept. V of Onco., Kitano Hospital)
【目的】transmembrane 4 superfamilyに属するMRP-1/CD9,KAI1/CD82とME491/CD63は,これら発現の減弱と癌転移との関連が示唆されている.そこで,乳癌におけるこれら発現の意義を臨床的に検討した.
【対象と方法】乳癌手術例109例を対象とした. 腫瘍の凍結標本からquantitative RT-PCRにより,これらのmRNA発現を定量した,更に凍結切片を用い,免疫組織学的に蛋白発現も検討した.そして,これらの発現と予後との関連を解析した.
【結果】1)分布:MRP-1/CD9の減弱は36例(33.0%),KAI1/CD82の減弱は65例(59.6%)にみられた.一方,全例においてME491/CD63の発現は保持されていた.2)予後との関連:MRP-1/CD9減弱群はその陽性群よりも,有意に無病率及び生存率が低かった(P<0.001, P=0.038).また,KAI1/CD82減弱群はその陽性群よりも有意に無病率が低かった(P=0.002).多変量解析でもMRP-1/CD9とKAI1/CD82はは独立した予後不良因子であった (P=0.002, P=0.023).
【考察】MRP-1/CD9とKAI1/CD82の発現減弱は乳癌においても転移との関連がみられ,これらの評価は予後不良因子として臨床的に有用である.