ABSTRACT 1843(P7-7)
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胃癌の術中洗浄細胞診の陽性率の向上を目指して:今田敏夫,利野 靖,長 晴彦,大島 貴,塩沢 學,円谷 彰,野口芳一(横浜市大第一外科)

Improvement of lavage cytology results in gastric cancer patients :Toshio IMADA, Yasushi RINO, Haruhiko CHO, Takashi OOSHIMA, Manabu SHIOZAWA, Akira TSUBURAYA, Yoshikazu NOGUCHI (First Dept. of Surg, Yokohama City University)

(はじめに)術中洗浄細胞診は胃癌の腹膜播種再発の重要な予測因子であることを報告してきた。しかし,肉眼的播種陽性でも細胞診陰性の例や細胞診陰性例が播種を生じる例も少なからず存在する。本研究は洗浄細胞診の判定に通常のPapanicolau染色 (Pap.染色)に,免疫染色(CEA,CA19-9,STN,SLX)を加え細胞診陽性率の向上を図る目的で行った。
(対象および方法)(1)胃癌132例を対象とし,腫瘍組織におけるCEA, CA19-9, STN, SLXの発現率を求め,その結果から洗浄細胞診の診断に適した抗体の組み合わせを求めた。(2)漿膜浸潤陽性胃癌20例に術中洗浄細胞診を行い,Pap.染色の他に上記の免疫染色を加え判定した。(結果)(1)播種陽性の可能性があるse症例の発現率はCEA:76%,CA19-9:32%, STN:60%, SLX:12%で,SLXを除いた3種類の組み合わせにより85%の症例に発現が見られた。(2)漿膜浸潤例20例のPap.染色による細胞診陽性例は 5例(25.0%),2例がClass III であった。(3)CEA,CA19-9,STNの免疫染色を加えることでClass IIIの 2例がClass Vと判定が変わった以外,新たに陽性となった例はなかった。(結論)胃癌の術中洗浄細胞診の判定に,免疫染色を追えることによる陽性率の向上は少なかった。