ABSTRACT 1849(P7-7)
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マーカー遺伝子導入マウス転移性細胞を用いた血液中癌細胞の動態に関する検討:小林潔,中西速夫,阿部厚,塚本徹哉,竹内伸一,立松正衞(愛知がんセ・研・1病)

PCR analysis of the dynamics of circulating tumor cells in the blood: Kiyoshi KOBAYASHI, Hayao NAKANISHI, Atsushi ABE, Tsukamoto TETSUYA, Shin-ichi TAKEUCHI and Masae TATEMATSU (Laboratory of Pathology, Aichi Cancer Center Research Institute)

【目的】近年,流血中癌細胞や微小転移巣などのいわゆるminimal residual disease (MRD) に対する診断,治療法の開発が課題となっている.しかしそれらの in vivo における実態は依然として不明な点が多い.今回,マーカー遺伝子導入細胞を用いて癌細胞の血中動態について検討したので報告する.【方法】ヒグロマイシン耐性遺伝子(HYG)およびlacZ遺伝子導入Lewis肺癌細胞を,それぞれマウスの尾静脈内に1X10(6)個移植し,10分,1時間,6時間および9時間後にマウスを安楽殺して下大静脈血(0.5ml) と肺,肝,副腎等の臓器を採取した.HYGを指標とする半定量的PCR法により血中の癌細胞を,X-Gal染色により肺その他の臓器の微小転移巣を検出し,血中癌細胞の動態を解析した.【結果と考察】血液中の癌細胞数は静注10分後には5%にまで急激に減少し,その後徐々に減少し続け,9時間後には消失した.一方,肺には多数のX-Gal陽性巣を認めたが,肝,副腎等には静脈内移植9時間後までX-Gal陽性巣はほとんど検出されなかった.以上より,肺のみに転移性を示す癌細胞では,原発巣から血流中に遊離した細胞は直ちに肺で補足され,血液中を長時間循環しないと考えられた.担癌マウス血中癌細胞についても検討中であり,併せて報告したい.