ABSTRACT 1850(P7-7)
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 マーカー遺伝子導入細胞を用いた担癌マウス血中癌細胞に対する抗癌剤の抑制効果に関する検討:阿部厚1,2、中西速夫1、深見博子1、塚本徹哉1、吉田憲司2、立松正衞11愛知がんセ・研・1病理、2愛知学院大・歯・1口外)

Effect of anti cancer agents on circulating tumor cells in blood of mice bearing primary tumors :Atsushi ABE1,2,Hayao NAKANISHI1,Hiroko FUKAMI1,Tetsuya TSUKAMOTO1,Kenji YOSHIDA2,Masae TATEMATSU1(1Lab.Pathol.,Aichi Cancer Center.Res.Inst., 21st.Dept.Oral and Maxillo-fac.Surg.,Sch.Dent.Aichi-Gakuin Univ.)

【目的】我々はこれまでに、微小転移巣が抗癌剤に対して高い感受性を有することを明らかにしてきたが、抗癌剤の転移抑制機序としては、既存の転移巣に対する効果以外にも血液中癌細胞に対する抑制効果も考えられる。今回、我々はヒグロマイシン耐性遺伝子(HYG)導入Lewis肺癌高転移細胞を用いてこの点の検討を行った。
【材料と方法】HYG遺伝子を導入したマウスLewis肺癌細胞(A11HYG-1)、1×106個を6週齡雄C57BLマウス皮下に接種し、癌細胞が血液中に流出する3週間目からUFT(20mg/kg)を連日計7回にわたり強制胃内投与した。投与中止1日後及び4日後にマウスを開腹、下大静脈より約0.5mlの血液を採取し、これからDNAを抽出、HYG特異的プライマーを用いたnested-primer PCRを行い血液中癌細胞を検出した。
【結果と考察】癌細胞の検出感度は血液1mlあたり約10個であった。担癌マウス血液中癌細胞の陽性率はUFT非投与群では6/9(67%)であったのに対し、投与群では投与中止1日後では1/10(10%)と有意に低下していた(P<0.025)。しかし投与中止4日後では7/9(78%)と再上昇が認められた。このことからUFT持続投与により血液中の癌細胞が一過性に減少すること、またこの減少は原発巣からの遊離の抑制による可能性も示唆され、現在この点について検討中である。